「朝ごはん」についての講演は、少々飽きられた感があるように思われますが、これは “飽きる飽きない” の流行りもので終わらせてはならないテーマ。

先日、「ともだちの森保育園」《社会福祉法人 森友会(しんゆうかい)/東京都国分寺市》にお邪魔し「朝ごはん」について保護者の皆さんにお話しをさせて頂きました。

成人してから1年で身長が5cmが伸びたという方には滅多にお目にかかれません。
5cmどころか1cm伸びたというだけでも稀少なこと。
ここ数年の我が国の「国民健康・栄養調査報告」を見ると、幼児の身長は、3歳から6歳までの間に平均して16~20cm伸びていることが分かります。
0歳から6歳までに至っては60cm以上伸びているわけですから、1年間に平均10cm以上伸びているということになります。
したがって、「朝食を食べない」ことは、大人にとっては少しの我慢や慣れで片付けられるかもしれませんが、子どもたち、特に体の成長が著しい乳幼児たちにとってそれは深刻な問題。

朝ごはんを食べずに登園した幼児は、お昼の給食・お弁当を食べるまで(未満児であれば10時のおやつまで)の間、時間でいうと、前夜の食事から実に12時間以上もの間、補給されなかったであろう「栄養」や「エネルギー」をいったいどこから調達しているのでしょうか?

これはまだまだ導入。
このあと、朝ごはんは何を食べれば良いのか、どうやったら食べられるのか、食事のバランスを整えるにはどうすれば良いかなどをひと通りお話ししました。
講演後も保護者の方々からたくさんご質問・ご相談をいただきましたので、「朝食の大切さ」にますます関心を持っていただけたのではないかと思います。


余談ですが。
各地の保育園・幼稚園を訪問するたびに「都会ならではの良さ」「田舎ならでは良さ」を無意識に感じてしまうのですが、不思議なことに、こちらの保育園では、「ひと」「もの」「こと」など、あらゆる点で全くと言って良いほど地域の違いを感じませんでした。
園の先生方と保護者の方々とのやりとりから感じ取れる信頼関係からなのか、はたまた、門脇清美 園長先生からお聞かせ頂いた 園に関わる様々なお話からそう感じたのか・・・。
いずれにせよ、「主体は“園児”と“その保護者”」であるという当たり前のようで忘れられがちなことを、当たり前のように実践されている保育園でしたので、このたびの講演のきっかけとなった小濱沙紀先生の「食」に対する意識の高さ、熱心さもこれで納得が行きました。
これからも、幼児期のお子さんをお持ちの保護者の方々や、保育士さんたちの力になれる食育活動を続けていきたいと改めて思いました。

管理栄養士 石賀安枝

 

ぬくもりのある木造の園舎の中は、空間を遮らない広々としたお部屋ばかり

 

園庭を見渡せ、
光がたくさん差し込む吹き抜けのホール